天日干し用の稲架(ハザ)の掛け方、馬の建て方 教わってきました!

むなかたフォレストガーデンの棚田では、天水・天日乾燥による無農薬米を今年は4種栽培しています。

5月に田植えしたコシヒカリが刈りどきを迎えましたので、コシヒカリの稲刈り、天日干しを行いました。

天日干しとは、刈り取った稲束を稲穂を下に向け、竹を組んで建てた馬の上に架け並べ天日乾燥する方法。
ほぼ20%位の水分を含んでいる刈りたてのお米を、15%位の水分量まで乾かすとカビることなくお米を保存することができるそうです。
20日間、約3週間の時間をかけて、自然の風に吹かれながらじっくりと種籾の中の水分を飛ばして行きます。
日中受ける強い日光の熱量を夜氣に当たりながら休ませる、この日夜のバランスも味をよくする要素だと言われています。
また、稲穂を下にすることで、藁(茎)の部分に残っている糖分が種籾に吸収される、という説もあります。
10/25。
ご縁をいただき、竹の馬の建て方と稲束の架け方を教わる機会に恵まれました。

ご指南くださったのは、福岡東部の田圃で稲作を続けて11年目を迎えられる、古賀の鈴木浩行さん。

福岡・宗像にも吹き荒れた10/22の台風21号、一夜明けたフォレストガーデンの棚田には、無残にも倒壊した竹の馬と崩落した稲束が。。。。
馬を建て直し、ハザ掛けをやり直す作業は、なんとも悲しいものです。
より強固な馬の建て方を模索していた、ちょうどそのタイミングで、この機会を頂きました。
鈴木さんの田圃に着くや、整然と並ぶ稲束の始末が美しい馬に目を奪われました。
良い仕事、というものはどの分野の仕事でも凛として美しいものです。
三角錐の均衡により安定する構造が、馬の脚を構成する三本の竹。
鈴木さんは、この三本の竹を3本まとめて紐でくくるのではなく、二本の竹に斜交を加えるように残りの一本を足されています。
二本の竹がクロスしたV字部に長尺の竹を載せて、竿竹とする。三本の竹ではなかなか安定性に良いV字を作りにくいのですが2本の竹なのでV字が作り易い。
鈴木さんの田圃に、目から落ちた鱗を500枚ほど放置してきてしまいました。
驚くのは馬の建て方だけにあらず!でした。
稲束の掛け方。これが安定していると束がくるっと回転しなくなり結果、稲束の落下だけでなく馬の倒壊も防げるのです。
今まで習った掛け方は、稲束を細:太(2:8または3:7)に分け、細、太、細、太、と交互に掛けていく、というもの。
鈴木さんに教えていただいたやり方は、ここに一工夫入っていました。
細:太(3:7)に稲束を分け、交互に掛ける。ここまでは同じです。
一工夫は、ここから。
細い束を鯖折りにして掛ける。そうすると太い方の根元は地面に垂直に、細い方の束の根元は地面に平行に、そして稲束の分け目の箇所は竿竹に垂直に掛かります。そして、細い束の稲穂は直前に掛けた太い束の稲穂に編み込むように差し入れます。
これを交互に繰り返します。そうすると太束に細束が引っかかる井桁のような構造となります。
ハザ掛けの工夫を知り、目から鱗がまた500枚落ちてしまいました。
鈴木さんご多用の折、丁寧にとてもわかりやすく教えてくださりありがとうございました!!!
これまで、なんとなーくあまり考えずに教えてもらった手順通り真似ていただけでした。
身を以て痛い失敗を経験すると、なぜその工夫なのか理解の深さが俄然変わってきます。
鈴木さんご自身も色々な方の手法を取り入れて、今の手法にたどり着かれたそうで、
「11年稲作をやってるんだけど、まだ11回しかやれてないんだよね。毎年毎年色々な条件が変わってくるから、いつもさらに工夫するところがある。」
と、概ねこのようなことをおっしゃっていた鈴木さんの言葉がとても印象に残りました。
農的営みは、科学そのもの。
観察と思考、工夫の積み重ね。
この科学に基づいて行われる農的営みは、とても効率がよく、作業も早い上にやり直しも少なく、収穫も大きい。そして仕上がりは、美しい。
馬の先端にぴょこんと穂の部分が突き出ている稲束が気になり、質問してみました。
鈴木さんにこのやり方を教えてくれたおばあちゃんがおっしゃるには、先端に穂を出しておくとスズメの足場がなくなるので、スズメ害を防いでくれるのだとか。
「どうなのかな?とも思うんですよね。これで本当にスズメの足場がなくなるのか。
でも、まぁこの穂が出ているのは見た目に可愛いですよね。なんでもかんでも理詰めで論理が立たなくても、こんななんかいいよね、というのも良いかなぁ、と思って取り入れてます。」
おもしろい。
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acupuncture practitioner

鍼灸師。百姓修行中。 鍼灸の臨床を通じ、暮らし方を含めた身体づくりの必要性を痛感。 自然栽培農法、発酵食、永続可能な里山のある暮らしにその可能性を見る。 パーマカルチャーデザイン・実践コース修了。 2016年夏より宗像に移住。100年先につながる循環型里山保全を目指している。